
| |
眠らない街、眠らせない<拠点劇場>
精華演劇祭は、関西の<拠点>劇場となる精華小劇場が開催する演劇祭です。毎回テーマを設定し、企画委員がセレクトする質の高い舞台芸術作品を上演すると共に、シンポジウム、アフタートーク、リーディング公演などを開催します。3回目の演劇祭のテーマは「私たちは圧倒的に間違っている」。NPO法人京都舞台芸術協会がセレクトした、京都からの選りすぐり5劇団の公演です。
|
精華演劇祭企画委員
「精華演劇祭」の上演作品をセレクトするのは、作品の創作に関わる現場の演劇人。各演劇祭ごとにテーマを設け、様々な角度から、同時代を反映する関西及び全国の質の高い演劇作品を紹介し、観客や地域の人々はもちろん、関西の演劇人や、既存の劇場や新しい劇場に影響が波及し、共鳴し、新しい大きなうねりを産むことが目的です。
小堀純(季刊「劇の宇宙」編集長)…代表
深津篤史(NPO法人大阪現代舞台芸術協会 理事長/桃園会)
岩崎正裕(NPO法人大阪現代舞台芸術協会 理事/劇団●太陽族)
鈴江俊郎(NPO法人京都舞台芸術協会 理事長/劇団八時半)
岡本康子(芸術創造館チーフプロデューサー)
福本年雄(ウイングフィールド代表)
金田明子(演劇ライター)
|
|
精華演劇祭 vol.3 「私たちは圧倒的に間違っている」
「私たちは圧倒的に間違っている」
ズボンの上にスカートをはいてる女の子を初めて見た時仰天した。下着のまま外を歩いてる夏の女性には目を疑った。「そのシャツにそのズボンを組み合わせますか……」と後輩は苦しげに私にアドバイスした。カラフルな冬物セーターは「その柄…できたら着ないほうがいいよ」と女の子に指摘された。誰が決めたんだよ?けれど十年もたつと、その間違いは間違いでもなくなる。どうでもいいよ!服なんか局部を隠してればいいんだよ!って喋ったら「それは文化そのもの否定だよ。装う、って高度な文化なんだよ。」と頭のいい友達に諭された。
絶対なものってないのだ。文化ってそんなものかもしれない。演劇も文化だ。小さなスタイルの差に一喜一憂する。それでいい。今を楽しむのがおしゃれだよ。……
しかし小さな差異ばかり気にしてきた僕らはいつのまにか時代の暴走に取り残されかけていないか?時代はさらに狂っていく、と予感してるのに、手が届かないこととあきらめてはいないか?
すべてが面倒になった時、「私たちは圧倒的に間違っている」とつぶやいてみたらすっとした。それだけは圧倒的に間違っていないつぶやきだ、という気がした。
今、あえて、手が届かないかもしれない圧倒的な価値を求めて、僕らは動こうと思う。
新しい知見は膨大な実験の果てのちょっとした失敗から生まれる。とノーベル賞の田中さんから僕らは学んだ。初めて芋を洗って食べたサルはボスの座争いに敗れたはずれザルだった。と霊長類学から学んだ。ベートーベンは聴覚を失ってからかえって音に執着し、第九を作った。と音楽まで教えてくれる。
いやそんな証拠などかき集めなくても、実感がある。むしろ逆転大ホームランは「やや間違っている」とか「もしかしたら間違っている」って程度の悲しい位置からではなく、「圧倒的に間違っている」という途方もなく悲しいところから生まれるのに違いない、と。小さな優勝劣敗にこだわる必要のないその悲しい状態は、「そもそもなにがしたいの?」という自問自答からの出発を許してくれる。
――僕らは、劇を見て感動したい。踊りを見て興奮したい。――
ものすごい興奮をこの劇場に出現させたい。ゴジラなんばに現る!ってくらいの。そのためにだったら、僕らはなんだってやろう。小さなこだわり、小さな違いなど気にしない。僕らは出発するのだ。「私たちは圧倒的に間違っている」からこそ、遠い遠いすごく遠いところを見られるのだ。
|
NPO法人京都舞台芸術協会 理事長/鈴江俊郎
|
|